研究紹介

行政DX

Multi-party Computing (MPC)  Trusted Execution Environment (TEE) / Secret Network / Zero Trust  Trustless / Self-sovereign Identity (SSI) / Data Free Flow with Trust (DTTF) / Non-fungible Token (NFT) / Web3

 資本主義の発展と共に、純粋な技術的ソリューションに資本を集約させるイノベーションの枠組みは機能不全を起こし始めました。

 健全な市場発展と人権保護の両立を実現するためには、外部不経済性を緩和しながらステークホルダー全員の合意が得られるような過不足ない規制を素早く実施しなければなりません。

 我々はそのようなフィージビリティを提示するために、シークレットコントラクトやMPC/TEE技術を応用したIoT端末を活用したプログラマブル・トラスト技術を提唱し、データ主権を確保したsecure-by-designあるいはゼロトラストと呼ばれる情報インフラ技術を公共セクターに応用していきます。

 データトラストとは、国家レベルの主体に対する改ざん耐性を確保したインフラストラクチャーにおける信用情報をアトリビュートとして持つビッグデータ、およびその流通インフラのことを指します。

 データの所有権を法的に議論するにあたり、データの持ち主のみがそのデータに対して操作・許諾をできることは基本的な前提条件になります。加えて、データ発生源において不正がないことの保証や、データ発生後に所有者がそのデータの存在を正常な認知能力を持って承認していることもデータの信頼性に関わる重要なメタデータです。

 これらの情報がなければ法的係争においてデータは信頼性や有用性が極めて低くなることが米国市場では徐々に知られてきており、先んじてこれに対応することが本研究の目的になります。

立法DX

熟議民主主義 / DAO4N / T-Gov / 形式手法 /Ethereum / Solidity / DAO / Formal Verification / Verifiable Delayed Function / zk-SNARKs / Deliberative Democracy

 「世界との契約」技術により、契約というこの社会の基底概念に見直しが図られることになります。

 人文科学分野でそのようなフィージビリティに関する議論が成熟するのを待たずして計算機科学的にその応用可能性を実装を通して模索する中で、国家というソフトウェアについてこれを適用するユースケースが群を抜いて人間総体に与えるインパクトが大きいという結論に至り、研究を進めています。

パブリックチェーンの改ざん耐性

 システムを構成するサーバー(ノード)群のネットワーク構造について、強大な政府が物理的にネットワーク検閲を完了できない程度に構成ノード数が多く、構成ノードの地理的情報に関するプライバシーが高く、ノードの参加や離脱の条件が任意の権威主体の許可ではなくネットワークの多数派からの合意が得られているルール(ブロック提出や供託提供)に則っているものをパブリックチェーンという。

 ブロックチェーンにおいて、あるブロックはその前のブロックのIDのようなもの(ブロックハッシュ)を参照しており、この値はそのブロックに保存されているデータに依存して一意に定まる。したがって、過去のある時点のデータを改変したい場合、そのデータが書き込まれるブロックに依存するすべてのブロックについて連鎖的に改変が必要となり、そのコストは飛躍的に増大する。このことを俗に改ざん耐性と呼ぶ。

スマートコントラクトが可能にする世界との契約

 スマートコントラクトとは、改ざん耐性のあるプログラムを開発および公開できる処理系(プログラムの実行環境)、あるいはその処理系をターゲットとした高級プログラミング言語のことを指す。

 主に二種類のカテゴリが俗に認識されており、ひとつは末端の使用者の側で作用後の状態がどのようなものになるかも含めて署名を施してネットワークに提出するUTXO型のものであり、Bitcoin等がそれにあたる。

 もうひとつは末端の使用者の側では入力値と実行するプログラム名のみを指定し、作用後の状態の計算はパブリックチェーンに任せるVM型のものであり、Ethereum等がそれにあたる。

 特に、VM型は不特定多数の匿名の契約の相対を持つことが可能であり法学的に特異な性質を有する。

 便宜的にこれを「世界との契約」と呼称する。

研究紹介事例

IoTデバイスによる発生トラストデータ生成

行政DX、プライバシー、自己主権データ

複眼カメラ(TOMBO:Thin Observation Moudule by  Bound Optics)

自然界から着想を得た「トンボの複眼を模したカメラ」を応用し、撮影した像の断片的な情報しか取得しないカメラモジュールを作成する。これにより撮影を行う末端デバイス側では撮影された像の完全な情報を得ることができず、知識を持つ中間者を限定することが可能になる。

データトラスト技術における「データ発生源の信頼データ」を担うことができるデバイスの一つ。

データトラストプロトコル

行政DX、プライバシー、自己主権データ

シークレットコントラクトやMPC/TEE技術を応用したIoT端末を活用したプログラマブル・トラスト技術を提唱し、データ主権を確保したsecure-by-designあるいはゼロトラストと呼ばれる情報インフラ技術を公共セクターに応用する。

米国でみられるデータの所有権や認知に関わる紛争解決のリスクをシステムレベルで緩和し、データ流通の実運用において不可欠なインフラを提供する。

マイクロパブリックアプリ『Alga』のオープンソース開発及び実証研究

立法DX・自治

役員や会計役の存在しない町内会、PTA、学内民主主義、マンション理事会が実用可能であることを検証できる。これにより、スマートコントラクトに制約された行政・部会の民意による管理が実用可能であることも示され、腐敗耐性のある公共財管理システムの有用性が示される。

自治体以下のサイズの共同体で自治負担が軽減され、公共財の維持改善効率が向上する。住民の民主主義リテラシーが向上し、自治体や自治州に対してこれを適用する議論が活性化される。ひいては民主主義が人権規範の前提であることが周知され、人類の繁栄に資する。

ACCESS

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大阪大学吹田キャンパステクノアライアンス棟

大阪大学大学院 情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻

スマートコントラクト活用共同研究講座